固定ネジ
カメラ台
鏡筒台
目的: ボーグ 45ED あるいは 60ED は,レデューサーとの併用も含め広く天体撮影に愛用され,優れた効果が挙げられています。何と言っても軽くて,気安く扱えるのが一番のメリットでしょう。
今回はこのミニボーグを用いて,@ 一眼レフによる直接撮影,A 一眼レフによるコリメート撮影,および B 冷却CCD撮影,という少なくとも3種類の撮影方法が楽しめる簡易台座を作って見ましたのでご報告します。
ミニボーグで写す
設計のコンセプトとしては;
A] 望遠鏡自体が軽量であるため,「望遠鏡にカメラを付ける」のではなく,「カメラに望遠鏡を付ける」,および
B] フリップミラーに同焦点アイピースを装着することによりファインダーは省略する,
の二点としました。

構造: 右の写真 @ のように,ミニボーグ(60ED; f:350mm)とフリップミラーを乗せた 「鏡筒台」 と,カメラ (一眼レフまたは冷却CCD) を固定する 「カメラ台」 の二つの部分を作りました。「カメラ台」 の両側のアルミ板をレールに喩えると,「鏡筒台」 は羽田のモノレールみたいに跨座式に滑るようになっています。

写真 A は一眼レフによる直接撮影の状態です。撮影時には念のため「鏡筒台」が滑らないように「固定ネジ」を締めることもできます(カメラが固定されているので実際には滑る心配はないです)。

一眼レフによるコリメート撮影の場合には,写真 B のようにカメラを傾けてお好みの交換レンズを装着し,同時に望遠鏡側にお好みのアイピースを取りつけますが,この際はフリップミラーに同焦点アイピースを取り付けるのを忘れないようにします (何しろファインダーがありませんので)。

写真 C は,アイピースとしてMeade 32mm (少し加工してあります:後述) を,またカメラレンズとしてはたまたま手持ちの OM 55mm; F1.2 を使用していますが,勿論アイピースはアイポイントが高いものであれば2インチでも全く問題ありません。
またカメラレンズの方も主点が浅いものであれば,ズーム式の標準レンズでも 「けられ」 はもしあっても殆ど目立たない程度のはずです。
注: 一眼レフ用のカメラレンズでは特殊のズームレンズでない限り一般に「けられ」は小型デジカメより少ないように思われます。

アイピース
市街地での撮影には一眼レフより冷却CCDの方が有利と言われます; 特に夏ではその差ははっきりします (冷却式の一眼レフについては,持っていないので何とも言えませんが)。
支持台
この装置(写真D)ではかなり重い冷却CCDでも簡便にかつ安心して取り付けられます。と言うよりも,ターレット付きの冷却CCDはかなりの重量であるだけでなく,カメラマウントを介する接続部には若干の不安 (ニコンマウントは精巧でもやや強度が不足し,最悪の場合には回転/脱落の不安を感じて仕舞います) があり,これを解消するには補助的な支持具があった方が良いように思われます。
更にこの装置では重いカメラ部分の「おじぎ」も完全に解消できます。
この装置を使った場合のボーグ60EDの視野については以下をご覧下さい (昼間の風景ですが);
視野については,(1) 一眼レフのコリメート撮影では直接撮影と比較し,「使用したカメラレンズの焦点距離」÷「アイピースの焦点距離」の分だけ像が拡大(視野縮小)し(写真B1およびB2),(2) 冷却CCDではその固有のスペックにより異なりますが一般には一眼レフより若干像が拡大(視野縮小)します(写真C)。
いずれにしてもレデューサー使用時とは逆の効果になり,対象天体の大きさにより有利にも不利にもなり得るのは当然です。
特にコリメート撮影の場合は口径が小さいだけに惑星や月などの場合を除き露出時間は長くなりますが,コンパクトデジカメとは異なり一眼レフでは長時間露出が可能であるというメリットが考えられます。

コリメート撮影用のアダプターについては,一眼レフ用の既製品はないと思われますが,この装置ではカメラと望遠鏡の相対的な位置が固定できるので,「アダプター」に余り神経質になる必要はないと考えられます。
強いて言えば,アイピース側に何らかの覆いを装着し,カメラレンズのフードとうまくマッチングさせれば迷光の心配はほとんどないようです。右上の写真は Meade の32mm アイピースの例ですが,もし参考になればと思います。

2インチのアイピースを使う場合は,ボール紙で作った鍔状のものをアイピースに被せ (右下写真),アイピースの先端をレンズフードに挿入するという方法もあるでしょう。

ボール紙
ビクセン製
アダプター
要するに望遠鏡とカメラの位置は固定できるので,アイピースとカメラレンズがほぼ密着していればOKで,もし周辺の間隙が気になる場合は何らかの遮蔽物を挿入するということになるでしょう。

コリメート撮影の実際
一眼レフによるコリメート撮影は,月や明るい惑星には有利です;長時間露出を覚悟して小さな明るい天体も写してみたいところですが,今はまだ実現していません。
冷却CCD撮影の実際
ようやく梅雨明けが近くなり(2010年7月15日),雲の合間に向かって久しぶりに冷却CCDの出番になりました;下の写真は薄雲を徹しての撮影でしかも試験撮影ということで露出時間も充分でありません。
共通データは以下の通りです;
カメラ:SBIG ST2K XM,-10℃,ピニングなし
光害カットフィルター:IDAS LPS P-2
赤道儀:ビクセンGPD;Pyxisによる導入および追尾(ノータッチ)
画像処理:上が北,LRGB合成(Stella Image V5)
とにかく軽量で冷却CCDをつけたまま「片手で扱える」のが大きな利点です。自動追尾システムを持っていないので長時間露出はできませんが,口径60mmでも1回露出60〜90秒で枚数をかせげば何とかなりそうかな?と思っています。

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