二軸微動ファインダー台座の製作
問題点
ファインダーの視野を調節する場合,既製品では3本のネジで調節する構造が主流です。これは操作が簡単である一方,以下のような欠点もありそうです;
1] 調節ネジが互いに120度傾いているため,調節がしにくい。
2] 頑丈な鏡筒バンドと支持軸が必要なため,自作が難しい。
3] 直角ファインダーが欲しい場合,対応に困る。
そこで,左右と上下が独立に微動できる台座を自作し,これに天頂ミラーを付けた自作小型望遠鏡をファインダーとして装着して見ました。
これで上記の問題点はすべて解決されました。
製作
右の写真ですべてお判りと思いますが,念のため敢えて説明を付け加えさせて戴きます。
1) 水平方向の調節は A の水平微動ネジ(2本)で行いますが,反対側の1本のネジには袋ナットを付けておくと,水平方向の調節がよりスムースになります(無くても殆ど支障はありませんが)。
2) 垂直方向は C の回転軸を中心として,左右2本の垂直微動ネジ (B) の押し引きにより行いますが,これにも袋ナットを付けた方が具合が良いです。
この部分は右中の写真のように,台座のベロの部分 D を左右から押し引きネジ
B で微動させるようになっています。
3) 望遠鏡側への取り付けのためには,ビクセン製のファインダー台座と互換性のある間隔のネジ孔を介して行いますので,ビクセン製ファインダー台座が取り付けられる望遠鏡の場合には問題なく付け替えが可能です(右下写真)。
余談
この装置の構造はご覧のように極めて簡単なものですが,製作にはある程度の精密さが必要です。
厚さ3ミリのアルミアングルまたはコの字材を金属用鋸で切るので,かなり手が痛くなります。
それよりもタップを切ってC)のビスネジを通す際には,その接点が一致し,しかも2本のビスが一直線上になる必要があり,タップが僅かに曲がった場合には,支持金具の向きを泣く泣くわざと曲げたりと,思わぬ細工に手間取りました。
しかし,出来て見ると,ファインダーとしてはかなり重いボーグ60 EDの自作鏡筒
(中身は金属+ボイド管です) もがっちりと保持できることが解り,一安心です(左下)。
これなら,直角ミラーも使えるので,楽な姿勢で導入などの操作が楽しめそうです。また冷却CCD撮影の際には,パソコン画面を見ずに導入/構図調整ができ,とても快適です(左下写真);ただし,ボーグ60
EDはこの場合(Φ10 cm自作反射)には少しオーバースペックかも?です。5 cm改造直角ファインダー程度でも充分です(右下写真)。
実際に反射鏡に取り付けて見ると,垂直微動ネジ(B)の位置が丁度指を入れにくい場所のため,ローレットビスの頭を回すのがやや困難でした;ローレットねじの代わりに通常のビスネジと交換してドライバーで回転させる方が簡単です。
この装置の欠点?
更にもっと簡便にしたければ,手でファインダーの上下方向を調節し,そのままの位置で回転軸ネジ(C)を硬く締め付ければ敢えて垂直微動ネジ(B)を使わなくても実用上問題ないことも判りました:要するに回転軸ネジ(C)さえしっかりしていれば問題は生じないようです。
発想転換?
ネジの位置をもっと使い易くすることも可能です。望遠鏡との接続位置や方法に応じて下の写真のような2軸微動台座も可能です。反射鏡には使えませんが,屈折望遠鏡ならこの形式の方が良いかも知れません。
袋ナット
B 垂直微動ネジ
C 回転軸ネジ
A 水平微動ネジ
袋ナット
B 垂直微動ネジ
C 回転軸ネジ
D ベロ